新入社員でも退職代行はあり?利用のリアルと後悔しないための全知識

新入社員として入社したばかりなのに、「もう会社を辞めたい…」と悩んでいませんか?

最近は「退職代行」というサービスを利用して、入社直後に会社を辞める新入社員も増えておりニュースやSNSでも話題になっています。

本記事では、新入社員が退職代行を使う背景や理由、メリット・デメリット、自分で辞める場合との比較、サービスの選び方、実際の体験談、その後のキャリアへの影響、そして親や周囲の反応への対処法まで網羅的に解説します。

カジュアルで分かりやすいトーンでお届けしますので、「退職代行を使うべきか?」悩んでいるあなたが後悔しない選択をできるよう一緒に考えていきましょう。

目次

新入社員でも退職代行を使う人が増えている背景

入社直後の退職が増加している現状

新年度が始まった直後から退職代行サービスへの依頼が相次いでいることをご存知でしょうか。

ある退職代行サービス会社「モームリ」によると、2025年4月1日からの1週間で新入社員からの退職代行依頼が93件もあり、前年同時期の約2.8倍に急増したそうです。

入社わずか数日~1週間で退職を決断する新人がそれだけ多く存在するという衝撃的なデータです。

さらに、厚生労働省の調査では大学卒業後3年以内の離職率は34.9%(2021年卒)と過去15年で最も高く、新入社員・若手の早期退職が年々増加傾向にあります。

つまり、「新卒で入った会社を短期間で辞める」こと自体が特別珍しい時代ではなくなってきているのです。

なぜ新入社員は早期退職を決断するのか?

若手社員がすぐに退職を決断する背景には、価値観や雇用環境の変化があります。

ある調査では20代社会人の96.5%が「退職への心理的ハードルが下がっている」と回答しています。

理由としては

  • 転職が一般的な選択肢になったこと
  • 無理に長く勤める必要はないという風潮
  • 自己成長を重視する前向きな志向

などが挙げられ、「合わなければ早めに辞めて次を探そう」という考え方が若手世代に広がっています。

また現在は新卒市場が売り手市場で、2025年卒の就職内定率は92.6%と過去最高水準です。

仕事を選べる時代背景もあり「この会社でなくても他にある」という安心感が早期退職のハードルを下げている面もあるでしょう。

加えて、入社前後のギャップも大きな要因です。

退職代行「モームリ」の谷本代表によれば、新入社員の退職理由で最も多いのは「労働条件や仕事内容が入社前に聞いていた話と違った」というものだそうです。

企業側が採用時に好条件をアピールしすぎたり、説明不足だったりするケースが増え、新人が「話が違う」と感じてしまうギャップが生じているとのことです。

実際、以下のような新入社員の声が報告されています。

  • 「求人票では定時が○時とあったのに、実際はもっと早く出社しないといけなかった」
  • 入社後に休日出勤が必要と言われたが、事前説明は一切なかった」
  • 「思っていた接客業務と違い、単純作業ばかりでやりがいを感じられなかった
  • 「入社式で社長が新入社員を大勢の前で怒鳴り、その後廊下でも『なめてんのか』と説教する様子を見て、一瞬でこの会社は無理と感じた」

入社式当日や初出勤直後にこうした出来事があれば、新人にとってショックですぐ退職を決断してしまうのも無理はありません。

実際、2025年4月1日には新卒社員5名が入社当日に退職代行を依頼したケースもあり、その多くは入社式でのトラブルや入社前とのギャップが原因だったと報じられています。

入社式という門出の場での理不尽な叱責や圧迫指導は、新人の心を折り「初日でも辞めるしかない」と思わせる引き金になりえます。

他にも、企業文化や価値観の不一致も早期退職の理由に挙がります。

社内の雰囲気やコミュニケーションの取り方、会社のビジョンが自分と合わず「この職場では成長できない」と感じてしまう新人もいます。

特に入社直後は右も左も分からない状態ですから、ちょっとした不安や違和感が大きなストレスになりがちです。

退職代行サービスという選択肢の浸透

もう一つ見逃せない背景は、退職代行サービス自体の普及です。

数年前には耳慣れなかった退職代行も、今では新卒の約94.2%が存在を認知しています。

2025年卒の新入社員の4人に1人(25.3%)が「自分も利用する可能性がある」と考えており、81%は退職代行の利用に否定的ではないという調査結果も出ています。

つまり、新入社員世代にとって退職代行は身近な選択肢になりつつあるのです。

退職代行が広まったことで、「会社を辞めたいけど言い出せない」という状況でもすぐ辞める手段があると知れ渡りました。

実際、「入社直後でも退職代行ならスムーズに辞められる」という安心感が、新卒社員による即時退職の増加に繋がっている面もあります。

退職代行サービスは文字通り退職手続きを代行してくれるので、心理的ハードルを下げ「辞めたいと思ったらすぐ行動に移せる」環境を整えてしまったとも言えます。

以上のように、雇用環境の変化・価値観の多様化・入社前後のギャップ・サービスの普及といった背景が重なり、新入社員でも退職代行を使って早期退職するケースが増えているのです。

退職代行を使うメリット(新入社員にとって)

入社したてで会社を辞める決断をするのは、とても勇気が要ります。

退職代行にはそんな決断を後押しする様々なメリットがあります。

特に新入社員にとって魅力的なポイントを見てみましょう。

1. 上司や会社と直接対峙しなくて済む安心感

退職代行最大のメリットは、自分の代わりに会社へ退職の意思を伝えてくれることです。

新人にとって、上司に「辞めます」と切り出すのは強いプレッシャーですよね。

「怒られるのでは?」「引き止められたらどうしよう?」と不安で眠れない人もいるでしょう。

退職代行を使えば、そうした精神的負担を大幅に軽減できます。

実際、「上司や会社に退職の意向を伝えるのが怖い」「初日の出来事でメンタルが疲弊してしまい、自分ではもう言い出せない」といった心理状態で退職代行を選ぶ新入社員が多いです。

代理業者があなたに代わって退職の連絡や手続きをすべて引き受けてくれるため、極端な話明日からもう出社しなくてもOKという状況に持っていけます。

「会社に直接言わなくていい」という安心感は、精神的に追い詰められた新人にとって何にも代え難いメリットです。

2. 迅速かつスムーズに辞められる

退職代行を利用すると、驚くほどあっさり会社を辞められたという声も多いです。

自分で退職を切り出す場合、上司との面談調整や引き止め交渉、書類のやり取りなどで何日も気まずい時間を過ごす可能性があります。

しかし代行業者に依頼すれば、最短即日で退職手続きが完了するケースもあります。

例えば先述の「モームリ」では、4月1日の1日だけで134名から退職代行の依頼がありましたが、そのうち5名は新入社員で入社式直後に退職を決意しています。

このように入社初日でも退職の意思を即座に実行に移せるのは、退職代行というサービスがあるからこそです。

自分では「さすがに初日で辞めるなんて非常識かな…」とためらってしまう場面でも、代行を使えば迅速かつ形式的に手続きを進めてくれるため、スピーディーに退職できるでしょう。

また、退職代行業者は退職届の提出方法や会社から送られてくる書類の対応など手続き面も指示・サポートしてくれます。

「何をすればいいの?」と右往左往せずに済み、スムーズに退職完了までたどり着けるのもメリットです。

3. ブラック企業相手でも権利を守りやすい

もし入社した会社がいわゆるブラック企業だった場合、本人が退職を申し出ても「辞めるなんて許さん!」と恫喝されたり「違約金を払え」など無茶を言われる可能性があります。

新入社員ひとりでそうした違法な引き止めに立ち向かうのは困難です。

退職代行サービスなら、法的に適切な手続きをもって退職の意思を伝達してくれるため、会社側も下手に違法行為で引き止めにくくなります。

特に弁護士運営の退職代行や労働組合(ユニオン)運営の代行サービスであれば、会社との交渉権限もあるため、残っている有給休暇の消化や未払い残業代の請求などもあなたに代わって交渉してくれます。

たとえ相手が強気な企業でも、法律のプロが対応することであなたの権利をしっかり守りつつ退職できるのです。

例として、「求人票と給与が異なり、実際の基本給が最低賃金を下回っていた」という明らかな労基法違反のケースでも、新入社員は退職代行を利用して辞める決断をしています。

こうした場合、自分一人では泣き寝入りしがちですが、代行サービス経由で毅然と退職を通告すれば、会社側も法的リスクを感じて対応せざるを得なくなるでしょう。

4. 心身が限界でも安全に退職できる

入社早々の環境に適応できず、心身の不調をきたす新入社員も少なくありません。

「出社を想像するだけで強い不安や鬱症状が出て、正常な判断ができない」という状態に陥った新人も実際にいました。

そうなると、自力で退職交渉をするのは非常に難しいですよね。

退職代行サービスは、そんな追い詰められた人にとって最後の砦になり得ます。

ある新卒社員は、業務が辛すぎて「この会社で働き続ける自信がなくなった」と感じ、入社3日目の朝に退職代行から会社へ電話を入れました。

本人は直接言えなかったものの、代行業者が介入することで安全に退職が叶い、その後心身を休めて立て直すことができたそうです。

また、パワハラやモラハラが原因で追い詰められている場合も、退職代行のメリットは大きいです。

例えば25歳の女性はブライダル営業の仕事で上司から日常的に罵倒され、ついには手を上げられそうになる事件が起きました。

退職を申し出ても「人手不足だから」「恩返しであと2ヶ月働け」など引き延ばされ、心が完全に折れてしまった彼女は退職代行を利用して会社を去りました。

「半分死んだような心で働き続けるくらいなら、退職代行で辞めて本当によかった」と振り返っており、自分の選択に後悔は少しもないと言います。

このように、極限状態のメンタルでも確実に辞められる安心感は何ものにも代え難いメリットです。

5. 新入社員でも「正式な退職手続き」を踏める

「入社してすぐ辞めるなんて、社会人として非常識では?」という罪悪感を抱く人もいるかもしれません。

しかし、退職代行を使うこと自体は法律にもとづいた正式な退職手段です。

契約上は社員が辞意を伝えれば2週間で退職可能(期間の定めのない雇用の場合、民法第627条)ですし、代理人を通じて意思を伝えることも何ら問題ありません。

むしろ、「会社をバックレて連絡を断つ」ような形ではなく、然るべきプロセスで退職するのである意味“ちゃんとしている”とも言えます。

実際ある番組でお笑い芸人の千原ジュニアさんも「退職代行を使う人は、ある意味ちゃんとしている」とコメントしています。

誰にも相談せず突然来なくなるより、お金を払ってでも正式に辞める意思を会社に伝えようとするのは、決して無責任な行動ではありません。

新入社員だと「せめて直接謝罪すべきだったかな…」と後ろめたさを感じるかもしれませんが、退職代行業者が会社への感謝やお詫びの気持ちも丁寧に代弁してくれる場合もあります。

社会人として筋を通す手段の一つだと割り切れば、過度に自責の念を持たずに済むでしょう。

以上のように、退職代行を使うことで精神的負担の軽減・スピード退職・権利保護・安全確保・手続きの正当性など多くのメリットが得られます。

「自分で直接言うのはどうしても無理…」という新入社員にとって、退職代行は心強い味方になってくれるはずです。

退職代行を使うデメリット・注意点(新入社員の場合)

一方で、退職代行の利用にはデメリットや注意すべき点もあります。

メリットばかりに目を向けて後悔しないよう、利用前に知っておきたいネガティブ面も確認しましょう。

1. 費用がかかる

退職代行サービスは基本的に有料です。

新入社員にとって数万円の出費は痛いですよね。

料金相場はサービスの種類によって異なりますが、一般的な代行業者なら2万円~3万円前後が多く、労働組合系で2.5~3万円、弁護士が担当する場合は5万円以上することもあります。

アルバイト数日分~1ヶ月分のお給料が飛んでしまう計算です。

「お金を払ってでも辞めたい」という状況なら価値はありますが、経済的に余裕がないと利用をためらうでしょう。

特に次の仕事がすぐ決まっていない場合、退職後しばらく収入が途絶える不安もあります。

金銭面での負担はデメリットと言えます。

※ただし最近では、相場より安い1万円台の低価格サービスも見られます。

金額だけで飛びつくのは危険ですが、学生時代のバイト貯金が少ない新入社員でも利用しやすい価格帯の業者も登場しています。

費用に見合うサービス内容かどうか、慎重に見極める必要がありますね。

2. 会社や同僚との関係が断絶しやすい

退職代行を使うと、自分は会社に顔を出さずに辞める形になります。

そのため、職場の上司・同僚との今後の関係はほぼ途切れると考えた方がいいでしょう。

例えば、直接「お世話になりました」と挨拶せずに辞めるので、会社側からすれば唐突にいなくなったように感じられます。

同期や先輩に対しても、何も言わず消える形になるため「あの子、急にいなくなったけど退職代行使ったらしいよ」など噂される可能性があります。

特に在籍日数が短い場合、社内的にも「逃げられた」「無責任だ」というネガティブな印象を持たれがちです。

また、代行利用後に会社から連絡が来てしまったというケースもあります。

本来、退職代行が間に入った時点で会社は本人へ直接連絡しないのが一般的ですが、現場の上司が心配してメールを寄こしたり、私物の件で電話がかかってくることもゼロではありません。

そうした場合にどう対応するか、自分で判断を迫られることもありえます。

さらに言えば、退職代行で辞めた会社に将来出戻りしたり、元同僚と仕事上の付き合いが復活する可能性はほぼ無くなるでしょう。

社会は狭いのでどこでご縁が繋がるか分かりませんが、少なくとも辞めた直後は古巣との関係は断たれる覚悟が必要です。

感謝の気持ちや謝意を直接伝えられないままになる点は、人によっては大きな心残りとなるかもしれません。

3. 「甘えている」「根性がない」と批判されるリスク

退職代行の利用について、社会人の中には否定的な見方をする人もいます。

特に年配の世代や勤続年数の長い上司ほど、「自分で辞めると言えずに代行に頼むなんて根性がない」「社会人失格だ」という考えを持ちがちです。

実際、街頭インタビューでも社会人2年目の女性が「すぐ辞める子はもうちょっと頑張れば何とかなるのでは?」と語ったり、7年目の先輩社員が「新卒の最初が辛いのは当たり前。半年くらい経てば楽しさも見えてくる」とコメントしており「なぜ踏ん張らないのか」という批判的な声が紹介されています。

こうした価値観の人からすると、退職代行は「甘えの象徴」のように映るかもしれません。

もちろん価値観は人それぞれで、昨今では「合わないなら即断即決で良い」という肯定的な意見も増えています。

しかし、新入社員が退職代行を使って辞めたと知れば、陰で「あの子は辛抱できなくて辞めたらしい」などと言われるリスクはゼロではないでしょう。

特に親世代や学校の恩師など、古い考えを持つ方ほど心配したり批判的に捉える可能性があります。

世間体を気にするご家族がいる場合「うちの子は会社をすぐ辞めてしまった」と肩身の狭い思いをするかもしれませんし、あなた自身も後々「もう少し頑張れたんじゃないか…」と内省してしまうことも考えられます。

退職代行を使うと決めたら、周囲からどう見られるかより自分の心身を守ることを優先すると割り切る強さも必要になります。

4. 自分で交渉や説明をする機会を失う

自分で退職交渉をする場合、上司から「何が辛いのか?」「どうにか続けられないか?」と話し合いの場を持たれるかもしれません。

そこで自分の気持ちや事情を説明する機会があります。

退職代行を使うと、そういった対話の機会はなく、一方的に「退職します」という結果だけが通達されます。

これはメリットでもある反面、会社に自分の本音を伝えないまま去ることを意味します。

例えば「本当は部署を異動できれば続けたかったのに…」という場合でも、その希望を言う前に辞めてしまうので、会社側は何も気づかず終わります。

もしかすると上司や人事と直接話せば、配置転換や勤務条件の改善など何らかの妥協策が見つかった可能性もゼロではありません。

退職代行ではそうした問題解決の交渉余地は基本的にありません

また、「自分で退職を申し出る」という経験自体が将来的には糧になることもあります。

嫌な上司に意見を言ったり、筋を通して辞める経験は、社会人としての度胸や交渉力を鍛える機会でもあります。

退職代行を使うとその機会を放棄する形になるため、成長のチャンスを逃しているとも言えるでしょう(もっとも、新入社員の身では心身を守る方が優先なので無理に経験する必要はありませんが)。

要は、退職代行は「対話による円満退職」より「迅速な退職」を優先する手段です。

そのため「できれば上司にきちんとお礼やお詫びを伝えて辞めたかった」「最後に自分の口から思いを話したかった」という気持ちが後から湧いてくる可能性があります。

自分ではそれを望んでいなくても、退職後にふと冷静になったとき寂しさや後悔を感じるケースもあるので注意しましょう。

5. 退職代行サービス選びを間違えるとトラブルになる

世の中には退職代行業者が乱立しており、玉石混交です。

悪質な業者に当たってしまうと、依頼したのに会社に連絡してくれなかったり、途中で音信不通になるなど最悪の事態も考えられます。

また、非弁護士の業者には法律上できることとできないことの線引きがありますが、それを超える違法なサービスを謳っている業者も存在しないとは言い切れません。

例えば、「追加料金ナシ」と言いながら後でオプション費用を請求されたり、結局自分で対応する羽目になったという利用者の声もあります。特に料金が極端に安いところや、新規参入で実績が不明なところは注意が必要です。

退職代行を使ったがために余計なトラブルに巻き込まれては本末転倒ですよね。

新入社員は社会経験が浅いため、業者の宣伝文句を鵜呑みにしがちです。

しかし、「業界最安値!」「100%退職成功!」など甘い言葉だけで判断せず、信頼できる実績や利用者の口コミを確認することが大切です。

後ほど詳しく述べますが、業者選びを誤るとデメリットが増幅してしまう点は覚えておきましょう。

6. (利用後の個人的な感情面)罪悪感や後悔が残ることも

最後に、これは人によりますが、退職代行で辞めた後に「自分は逃げてしまったのではないか」と自己嫌悪に陥るケースもあります。

特に真面目で責任感の強い人ほど、直接言わずに辞めたことに後ろめたさを感じたり、「職場の人に迷惑をかけてしまったかな…」と悩むことがあります。

しかしこの点について言えば、多くの場合時間が解決してくれます。

一時的に落ち込んでも、新しい環境で前向きに頑張れば「退職代行で辞めたこと」自体は徐々に過去の出来事になります。

むしろ追い詰められていた当時の自分を救った選択なのですから、必要以上に自分を責める必要はありません。

ポイント

退職代行を利用するか迷っている段階であれば、以上のデメリットも踏まえた上で「それでも自分の健康と今後の人生を優先すべきか?」を考えてみましょう。精神的・肉体的に限界なら、多少の批判を受けても身を守る方が大切です。一方で、「もう少し話し合えば状況が好転するかも」と思える余地があるなら、デメリット部分も検討材料に入れて慎重に判断してください。

自分で辞める場合との比較:どちらが自分に向いている?

ここまで退職代行のメリット・デメリットを見てきましたが「結局、自分で退職を申し出るのと何がどう違うの?」と整理したい方もいるでしょう。

新入社員が退職を検討する際に、自力で辞めるか退職代行を使うかを選ぶ基準を比較表にまとめました。

項目 自分で退職を伝える場合退職代行サービスを利用する場合
精神的負担高い。上司に直接「辞めたい」と言うプレッシャーが大きい低い。代理人が伝えるため、恐怖や緊張を大幅軽減
費用0円。経済的負担なし数万円の費用が必要(相場2~5万円程度)
退職手続きの手間自分で退職願・退職届を作成し提出。上司や人事との面談調整や、会社からの書類受け取りなど一連のやり取りを自分で行う業者が会社に連絡し手続きを進行。指示に従い書類を郵送する等、指示通り動けばOK
会社からの引き止め対応あり得る上司に慰留されたり、退職時期を引き延ばされる可能性。精神的ストレスになる直接交渉しなくて良い引き止めの言葉は代行が受けるため、本人は聞かずに済む
有給消化・残給与交渉自分で申し出・交渉が必要。会社によっては言い出しにくく、買い上げなど要求は困難労組系・弁護士系なら交渉可(未消化有給や未払い給与の請求も対応)※民間業者は交渉不可
周囲からの印象「自分で筋を通した」と評価されることも。早期退職自体への批判は残るが、直接謝罪・相談した分、理解を得られる可能性も「逃げた」「甘え」と批判される恐れ。会社への挨拶なしで去るため周囲の心証は悪くなりがち
職場との関係最後に直接お礼や謝罪を伝えられる分、円満退社に近い形になりやすい。元上司・同僚とも連絡を取りやすい関係断絶しやすい。突然居なくなる印象となり、退職後に会社関係者との交流はほぼなくなる
交渉・対話の経験上司に意見を伝える、退職理由を説明するといった経験を積める(度胸・交渉力向上につながる可能性)交渉や対話の機会はゼロ。成長のチャンスはないが、そもそも余裕がない状況ではメリットとも言える
確実性会社側の対応次第ではトラブルに発展する可能性(退職届を受理しない等の嫌がらせケースも稀に)ほぼ確実に退職できる。法律上、意思表示から2週間で退職可能なので、代行を通せば会社も強制的に認めざるを得ない

こうして比較すると、「自分で退職を伝える」方法はお金がかからず直接けじめをつけられる反面、精神的ストレスや引き止めリスクがあります。

一方、「退職代行を利用する」方法は快適かつ確実に辞められる反面、費用負担や周囲の目といったデメリットがあります。

どちらが自分に向いているか?を判断するポイントとして、次のようなフローチャート的考え方もできます。

判断するポイント
  • 上司や職場に対して強い恐怖心や不信感がある → 退職代行の利用を検討(無理に直接対決して追い詰められるより、安全に辞める方が優先)
  • 会社が明らかにブラック、違法な状況がある → 退職代行(労組や弁護士タイプ)推奨(法律の力で権利を守りつつ辞める)
  • 精神的にまだ余裕があり、円満に退職したい気持ちが強い → まずは自分で上司に相談(話し合いで解決策が見つかる可能性も)
  • 金銭的に余裕がなく費用負担が難しい → 自分で伝える努力も検討(信頼できる先輩等に相談し、フォローしてもらいながら退職交渉する手も)
  • とにかく一刻も早く辞めたい、明日から行きたくない → 退職代行一択(スピード優先。心と体を守る)
  • 周囲への義理をできる限り果たしたい → 自分で退職(直接謝辞を伝え、最低限の引き継ぎを行って退社)

このように、自分の精神状態・職場の状況・重視することによってどちらを選ぶべきかは変わります。

無理に自力退職にこだわってメンタルを壊しては本末転倒ですし、一方で代行に任せたことで後悔するくらいなら最初から自分で言った方が良いかもしれません。

あなた自身の心の声職場の危険度を天秤にかけて、最適な方法を選んでください。

退職代行サービスの選び方(業者ごとの違い・料金相場・口コミ等)

もし「退職代行を使おう」と決めた場合、次に悩むのがどのサービスを選ぶかです。

現在、退職代行サービスは大小さまざまな業者がありますが、適当に選ぶのは危険です。

この章では、退職代行業者の種類と特徴、選ぶ際のポイントを解説します。

業者の種類は3タイプ:民間・労働組合・弁護士

まず押さえておきたいのは、退職代行サービスには運営元によって3つのタイプがあることです。

  1. 民間企業が運営する退職代行(株式会社など弁護士資格のない一般企業)
  2. 労働組合(ユニオン)が運営する退職代行
  3. 弁護士が運営・対応する退職代行

それぞれ費用や対応範囲に違いがあります。

  • 民間企業系:料金相場は1万~5万円程度と幅がありますが、比較的安価なところが多いです。ただし会社との交渉権限はないため、「退職の意思を伝える」以上のことはできません。有給消化の交渉や未払い賃金の請求などは法的にできないので、本当に伝達役専門と考えましょう。「とにかく辞める意思さえ伝えてくれればOK!」という場合に向いています。
  • 労働組合系:料金相場は2.5万~3万円ほど。民間に比べ若干高めですが、労働組合法に基づく団体交渉権があるため、会社と交渉が可能です。有給取得の申し出や残業代請求、離職票の速やかな発行依頼など、あなたに代わって会社とやりとりしてくれる範囲が広がります。弁護士ではないので訴訟など法的措置はできませんが、退職に付随する基本的な交渉はカバーできるのが強みです。
  • 弁護士対応:料金は5万~10万円と高額になりがち。しかし弁護士資格を持つプロが担当するため、会社から損害賠償をちらつかされても法的に反論・対抗できますし、未払い残業代の請求やハラスメントに対する慰謝料請求なども可能です。退職代行の枠を超えて、必要なら内容証明郵便の送付や訴訟手続きまで対応してくれる場合もあります。トラブルの可能性が高い場合や、確実に権利回収したい場合は弁護士一択でしょう。

まとめると、「伝えるだけで十分」なら安い民間、「有給消化など交渉したい」なら労組系「法的トラブルの恐れあり」なら弁護士がお勧めです。

自分の会社の状況に応じて、適したタイプを選びましょう。

料金プラン・追加費用に注意

業者を選ぶ際は、料金も重要な比較ポイントです。ただし単純に「安いから良い」というものでもありません。

料金プランの内容をよく確認することが大切です。

  • 総額表示か:料金が「◯◯円~」と書かれている場合、最低額しか表示していないことがあります。例えば基本料は安くても「有給交渉は+◯円」「会社への郵送代行はオプション」など追加料金が発生し、トータルでは高くつくケースも。「コミコミ◯円」「追加料金一切なし」と明記している業者だと安心です。
  • 返金保証はあるか:稀にですが「万一退職できなかったら全額返金」とうたうサービスもあります。退職代行の成功率はほぼ100%に近いと言われるのであまり心配しすぎなくて良いですが、保証があると安心材料にはなりますね。
  • 支払い方法:新入社員だとクレジットカードを持っていなかったり限度額が低い場合もあります。振込やコンビニ決済に対応しているか、後払いは可能かなども確認しましょう。

格安すぎる業者は先述のとおり注意ですが、かといって高ければ安心というものでもないのが難しいところです。

料金とサービス内容のバランスを見極めてください。

サポート体制・連絡手段の確認

退職代行サービス各社で微妙に違うのが、サポート対応の手厚さです。

以下の点をチェックすると良いでしょう。

  • 相談のしやすさ:ラインやメールで24時間相談可能か、電話のみか。自分が相談しやすい手段を提供しているかどうかは重要です。深夜でもLINEで即レスしてくれる業者もあります。
  • 対応の迅速さ:問い合わせの返信速度や、正式依頼後にどのくらいで会社へ連絡してくれるかもポイントです。「お問い合わせしたのに返事が遅い…」という業者は信頼できません。口コミで「レスポンスが早かった」という声があると安心です。
  • 退職完了までのフォロー:会社とのやりとりはどこまで代行してくれるのかを確認しましょう。一般的には退職意思を伝えてくれた後、会社から自宅に郵送される書類(離職票や源泉徴収票など)の案内もサポートしてくれます。中には退職後の転職相談に乗ってくれるサービスもあります。
  • 実績や運営年数:創業間もない所より、実績◯◯件!と経験豊富な業者の方が安心感はあります。ただし古参だから良いとも限らないので、参考程度に。

口コミ・評判は参考程度に

インターネット上には退職代行サービスの口コミや体験談がたくさんあります。

「◯◯社は丁寧だった」「△△は雑で不満」など様々ですが、話半分で見ておきましょう。

中には自社サイトで良い評判ばかり載せていたり、アフィリエイト広告目的でランキング付けしている記事もあります。

信憑性が高そうな口コミとしては、Twitter(現X)などSNS上で実際に利用した人の投稿や、Yahoo知恵袋などQ&Aサイトでのやりとりです。

ただし個人のケースとあなたの状況は異なるかもしれません。

最終的には自分で問い合わせた際の対応の印象を重視しましょう。

主な退職代行サービス例(※あくまで一部)

具体的なサービス名は本記事では推奨しませんが、参考までによく名前が挙がる退職代行業者をいくつか紹介します。

主な退職代行サービス
  • EXIT(イグジット):草分け的存在の民間企業系代行。知名度が高く実績多数。24時間対応。費用は3万円前後。
  • 退職代行ニコイチ:こちらも古参の民間系。創業年数が長く安心感あり。LINE相談可能。料金は2〜3万円程度。
  • 退職代行SARABA:労働組合運営。追加料金なしの定額2万4千円と明朗会計。団体交渉で有給取得などにも対応。

※あくまで例示であり、利用を推奨するものではありません。

それぞれ特徴が異なるので、複数比較してみることをお勧めします。

選ぶ際の総合アドバイス

  1. 自分のケースで重視する点を明確にしましょう(スピード重視?交渉必要?費用優先?)。
  2. タイプ(民間・労組・弁護士)を決める。迷ったら中間の労組系がバランス良いです。
  3. 気になる業者の公式サイトをチェック。料金体系や対応範囲を比較。
  4. 相談フォームやLINEで問い合わせしてみて、対応の早さや丁寧さを体感。
  5. 最終的に「ここなら任せられる」と感じた所に依頼する。

大切なのは、あなたが安心して任せられるかどうかです。

変に迷って時間をかけすぎるとつらい期間が延びてしまいます。

信頼できそうなサービスを選び、決めたら迅速に行動しましょう。

新入社員が退職代行を使った実例・体験談

実際にどんな新入社員が退職代行を使って辞めているのか、いくつか具体的な事例や体験談をご紹介します。

同じ新人世代の生の声を知ることで、よりイメージが湧くはずです。

ケース1:入社式での出来事にショックを受け即日退職

「社長に入社式で怒鳴られ、この会社は無理だと決意」
ある女性新入社員は、入社式当日に社長から理不尽な叱責を受け、大勢の前で怒鳴られるという洗礼を受けました。

さらに廊下でも「なめてんのか」と詰め寄られたことで恐怖を感じ、その場で心が折れてしまいます。

彼女はその日のうちに退職を決意し、退職代行に依頼。

入社初日での退職となりましたが、「あのまま働き続けるのは無理だったので、早めに辞めて正解だった」と振り返っています。

このケースでは会社側のパワハラ的対応が原因で、新人は強い不信感と恐怖を抱いてしまったわけです。

退職代行がなければ「数日で辞めたいなんて言い出せない」と我慢していたかもしれませんが、サービスを使うことでスパッと身を引くことができた典型例です。

ケース2:求人内容と現実のギャップに落胆

「聞いていた話と違いすぎてやりがいを見失った」
不動産業に就職した男性新入社員のケースでは、求人票に記載されていた出社時間と実際の勤務時間が異なっていたことが発覚しました。

朝早くから夜遅くまで働く実態に、「こんなはずでは」と落胆。

また、教育関連企業に就職した女性は入社後に突然『休日出勤が必要』と言われ、事前に何も説明されていなかったことに不信感を募らせました。

飲食業に就いた別の女性は、期待していた接客業務とはかけ離れた雑多な作業ばかりで「やりがいが感じられない」と失望しました。

彼らは皆、入社前に描いていた理想と現実とのギャップに耐えられず、早期退職を選んでいます。

退職代行「モームリ」に寄せられた新人の退職理由でも「事前に聞かされていた内容と実際の業務が大きく異なり、やりがいを見出せなくなった」という声が上がっているそうです。

このような場合、本人から会社に「話が違う」と訴えても改善は見込めないことが多いため、見切りをつけて退職代行を利用する判断は合理的とも言えるでしょう。

ケース3:上司のハラスメントに耐えかねて

「上司に手を上げられ、心がプツンと切れた」
前述のブライダル業界で働いていた25歳の女性(新卒入社ではありませんが若手社員)の体験です。

彼女は1年ほど頑張りましたが、上司とのウマが合わずモチベーションが徐々に低下。

ついには叱責がエスカレートして上司が平手を振り上げる暴力寸前の出来事が起き、「もう無理だ」と完全に心が折れてしまいました。

退職の意思を伝えても引き止められ、「恩返しだと思ってあと2ヶ月働け」と無茶を言われる状況…。

彼女は限界状態のメンタルで退職代行サービスにすがり、なんとか退職にこぎつけました。

退職後しばらく休養すると「頭が数倍回るようになった。あのまま続けていたら本当に鬱になっていたかも」と語り、退職代行で辞めたことに一切後悔はないと断言しています。

このエピソードは新入社員に限らず、「ハラスメントに苦しんでいるなら我慢せず逃げてもいい」ことを物語っています。

自力で言えないほど追い詰められていたら、退職代行はまさに救済策です。

ケース4:第一志望に未練があり入社3日で退職

「やっぱり本命の会社に行きたい…自分の気持ちについていけなくなった」

こちらは少し異色のケースで、会社側の問題ではなく本人のキャリア選択の悩みによる早期退職です。

ある新卒男性は本命視していた他社に落ちたため、現在の会社に入社しました。

しかし心の中では第一志望企業への未練が残っており、入社後もモヤモヤが消えなかったそうです。

「このままでいいのか?」と悩むうちに働き続ける自信がなくなり、入社3日目の朝に退職代行から会社に連絡を入れて辞めてしまいました。

会社側はショックを受けましたが、本人は「自分の気持ちに嘘をつけなかった」と語っています。

このケースでは、会社自体に不満があったわけではないものの、キャリアの方向性に納得できず離脱したパターンです。

新人の中にはこうしたミスマッチ(配属や業種の選択ミス)で悩む人もいます。

自分勝手と思われるかもしれませんが、人生は一度きりですから、早めに方向転換するために退職代行を活用するのも一つの選択と言えるでしょう。

以上、いくつかの事例を見てきました。

共通しているのは、新人本人にとって深刻な理由があり、短期間であっても退職の決断をしたことです。

誰しも「まさか自分がすぐ辞めることになるとは…」と思っていたはずですが、それでも退職代行という受け皿があったことで実行に移せました。

あなたが今置かれている状況と近いケースはあったでしょうか?

状況は人それぞれですが、「こんな新人もいるんだ、自分だけじゃないんだ」と知るだけでも心が軽くなるかもしれません。

大事なのは、自分が後悔しない道を選ぶことです。

他人がどう思おうと、あなたの人生の舵取りをするのはあなただけ。

退職後のキャリア・転職活動への影響

新入社員で早期退職すると、「この先ちゃんと再就職できるの?」「経歴に傷がつかない?」と不安になりますよね。

結論から言えば、短期離職はあなたが思うほど致命的なハンデにはなりません

この章では、退職後のキャリアへの影響と、転職活動を乗り切るポイントを解説します。

早期退職は珍しくない:第二新卒という道

まず知っておきたいのは、新卒で数ヶ月~1年以内に辞めて転職活動をする人は決して珍しくないということです。

前述のように3年以内の離職率は約3割にも達します。

そのため、各企業も「第二新卒」(大学卒後3年以内くらいの若手層)の採用枠を設けていたり、ポテンシャル採用を行っています。

第二新卒向けの求人市場も活発で、転職エージェントや求人サイトでは「第二新卒歓迎」「未経験OK」の求人が多数あります。

「新卒入社したけどすぐ辞めました」という求職者も珍しくないため、採用担当者も特別驚きません。

むしろ「合わない環境から早めに出てきてポジティブに転職を考えている若手」と前向きに捉えてくれる会社もあります。

実際、売り手市場の今、若手人材は貴重なので早期離職者にもチャンスは多いです。

2025年卒の内定率が過去最高というデータからもわかるように、景気や業界にもよりますが仕事自体は探せば見つかる時代です。ですので、「こんな経歴じゃもう雇ってもらえない」なんて悲観しすぎないでくださいね。

履歴書・職務経歴書の書き方

短期間で辞めた会社を履歴書に書くべきか迷う人も多いでしょう。

基本的には正社員として雇用契約を結んだ事実があるなら、たとえ1ヶ月でも履歴書に記載するのが原則です。

なぜなら、在籍期間が短くても雇用保険などで経歴は記録に残るため、書かないと経歴詐称とみなされるリスクがあるからです。

ポイントは、履歴書の職歴欄には簡潔に事実を書くこと。

「◯年◯月 入社、◯年◯月 退社(一身上の都合により)」といった形でOKです。詳細な退職理由は書かなくて構いません。「一身上の都合により退職」という一般的な表現で十分です。

職務経歴書についても、短期なので詳しく書くことはあまりないでしょうが、応募先企業に活かせそうな学びやスキルがあれば簡単に触れると良いでしょう。

「◯ヶ月という短期間でしたが、〇〇の業務を経験し、△△のスキルを身につけました」程度でOKです。

注意したいのは、履歴を書かず空白期間にする方がリスクだということです。

「短期間で辞めた恥ずかしい経歴は隠そう」と考えるかもしれませんが、先々でバレた時に信頼を損ねますし、空白期間をどう説明するかの方がよほど難しいです。

正直に書いておいた方が印象は良いですし、「短くても嘘をつかないちゃんとした人だ」という評価に繋がる可能性もあります。

面接での伝え方:ポジティブに、学びを強調

では、転職面接で「どうして前の会社をそんなに早く辞めたのか?」と聞かれたらどう答えるべきでしょうか。

ここが腕の見せ所ですが、決してネガティブにならず、前向きな理由と学びを伝えるのがポイントです。

NGなのは、前職の悪口や言い訳ばかり並べることです。「上司が怖くて…」「残業が多くて嫌になって…」と恨み節を語ると、「また嫌なことがあったらすぐ辞めるのでは?」と警戒されてしまいます。

そうではなく、例えば次のように言い換えてみましょう。

ポジティブな表現
  • 入社前とのギャップに気づいた場合:「前職では当初聞いていた仕事内容と実際の業務にギャップがあり、自分の強みを発揮しづらいと感じました。もっと〇〇な環境で△△に挑戦したいと思い、転職を決意しました。」
    ※「話が違った!」ではなく「自分の強みを活かすため前向きに転職」というニュアンスに。
  • 人間関係・ハラスメントの場合:「前職ではチームでのコミュニケーションが円滑にいかず悩みました。その経験から、風通しの良い職場環境の大切さを学び、より成長できる環境を求めて御社を志望しました。」
    ※直接「いじめられて…」とは言わず、「コミュニケーション課題から学んだ」とポジティブに。
  • キャリアチェンジの場合:「新卒で入社した会社では◯◯の業務を経験しましたが、そこで□□に興味を持ち、自分の進みたい方向性が明確になりました。短期間ではありましたが、その気づきを得られたことは収穫です。今後はその□□分野で力を発揮したいと思い志望しました。」
    ※早期退職を「自分の本当にやりたいことを見つけるきっかけになった」と位置づける。

要は、「短期間だけど○○を学び、今後に活かしたい」という前向きな姿勢を示すことです。

実際、半年で辞めた方へのアドバイスとして「離職を振り返り、改善点や今後の意気込みを書く」ことが推奨されています。

例えばリクナビの転職相談では「労働環境に耐えかねて辞めましたが、振り返ると自分にも改善余地があったと反省しています。

今後はその経験を踏まえ◯◯できるよう精進します」といった前向きな離職理由の例文が紹介されています。

そこまで自己批判的になる必要はありませんが、早期離職を単なる失敗で終わらせず、糧にしていますという姿勢は大事です。

採用担当者も人間ですから、「たしかに合わない職場だったんだな。でもこの人はきちんと教訓にして成長しようとしているな」と感じれば、マイナス評価にはなりにくいでしょう。

退職代行を使ったことは言うべき?

ちなみに、「退職時に代行サービスを使った」と面接で言う必要は基本的にありません。

企業側からすれば辞め方の手段より辞めた理由やその後の期間をどう過ごしたかの方が重要です。

わざわざ自分から「実は退職代行を使いまして…」と切り出す必要はありませんし、相手もそこまでは聞いてきません。

どうしても前職の在籍期間が極端に短い場合などでツッコまれたら、「実は退職の意思を伝えづらい雰囲気で悩んだ末に専門サービスに相談しました」とサラッと言う程度でいいでしょう。

「逃げた」印象を与えないように注意しつつ、あまり詳しく語らないことです。

話すなら「自身のメンタルヘルスを守るためやむを得ず」といったニュアンスに留め、すぐ前向きな話題(次の目標など)に切り替えるのが得策です。

早期退職はあなたの価値を損なわない

最後に強調したいのは、新入社員の早期退職は人生の取り返しがつかない失敗では決してないということです。

若いうちの失敗はリカバリーが効きますし、むしろ合わない環境に長く留まって自信や健康を失う方がよほどリスクです。

確かに一部の伝統的な企業や年配の面接官にはマイナスに見る人もいるかもしれません。

しかし、それで門前払いするような会社は、あなたにとっても縁がなかったのでしょう。

世の中には「たった数ヶ月でも仕事をした事実」を評価してくれる企業「合わないと分かったのにダラダラ残らなかった行動力」を買ってくれる企業もあります。

実際、半年で会社を辞めた相談者にキャリアアドバイザーが「まだ若いので今からいくらでもチャンスはあります」とエールを送っています。

大事なのは、今後どうするかの軸をしっかり持つことです。

自分が本当にやりたいこと、進みたい方向を見定め、そこに向かって努力すれば、早期退職のハンデは十分カバーできます。

もし退職後の転職活動に不安があるなら、第二新卒専門のエージェントに登録したり、キャリア相談サービスを利用するのも手です。

プロの視点で履歴書添削や面接練習をしてもらえれば安心感が違います。

親や周囲の反応…どう乗り越える?

新入社員が早期退職する際、親御さんや家族、友人、大学の先輩など周囲の反応も気になるものです。

特に親世代は「せっかく就職したのにもう辞めるなんて!」と反対するケースが多いでしょう。

ここでは、親や周囲に退職を理解・納得してもらう方法や、反対されたときの対処法を紹介します。

まず前提:退職に親の許可はいらない

大前提として、仕事を辞めるのに親の許可や同意は法律的にも必要ありません

あなたの人生の選択なので、最終的な決定権はあなた自身にあります。

とはいえ「親に内緒で辞めるのは気が引ける…」「心配かけたくない」と思うのも自然ですよね。

これまでお世話になった親御さんなら尚更です。

相談すべきか悩む気持ちは分かりますが、親世代と若い世代では仕事観が異なることを念頭に置きましょう。

昭和・平成初期の価値観では「石の上にも三年(最低3年は我慢しろ)」が常識でした。

しかし令和の時代ではそれが古い考えになりつつあります。親御さんが心配するのも愛情ゆえですが、必ずしも今の時代に合ったアドバイスとは限りません。

結論として、退職は自分の意思で決めてOKです。

ただし親を安心させる努力やケアをすることで、後々の人間関係が円満になります。

では具体的にどう説得・説明するか見ていきましょう。

親に反対されたときの対処法4つ

もし退職を切り出して親が激怒・猛反対したら、次のポイントを押さえて冷静に話し合ってみてください。

①金銭面の不安を取り除く説明をする

親が反対する大きな理由は「仕事辞めて食べていけるの?」という経済的な心配です。

そこで、退職後の生活プランをきちんと伝えましょう。例えば:

  • 「○万円の貯金があるから○ヶ月は大丈夫」と具体的な数字で示す
  • 「次の転職先は決まっている(あるいは当面アルバイトで繋ぐ)から収入は途切れない」
  • 「失業給付は◯ヶ月後から出るし、その間の生活費シミュレーションもしてある」 など。

数字やプランで示せば、親御さんも少し安心します。もし貯金が十分でなくても、「◯ヶ月以内に次を決めるつもり」と期限を伝えると良いです。

経済的な見通しを立てていることを示すのがポイントです。

②今後のキャリア計画を具体的に話す

次に親が不安なのは「辞めてこの子はこの先どうするの?」というキャリア面です。ここも具体的に伝えましょう。

  • 「今後は○○の仕事に就きたいと思っている」
  • 「将来△△を目指すために転職が必要だと考えた」
  • 「◯月までに再就職活動をして、新しい会社では□□に挑戦したい」 など。

要するに、辞めた後のビジョンがしっかりあることを示します。

漠然と「辞めたい」だけでは親も不安です。たとえまだ具体的な転職先が決まっていなくても、「こういう方向で探すつもり」と意思を見せましょう。

一度は反対されても、あなたが真剣に将来設計を語れば、「この子なりに考えているんだな」と理解が深まる可能性が高いです。

③退職理由はポジティブに伝える

退職理由そのものも、伝え方に工夫が必要です。

ネガティブに「もう嫌だ、限界だ」だけだと親も心配倍増なので、前向きな表現に切り替えます。

例えば
  • 「自分の本当にやりたいことに挑戦したいから」
  • 「もっと成長できる環境に身を置きたいと思ったから」
  • 「○○のスキルを活かせる仕事に転向したい」 等。

もちろん嘘をつく必要はありませんが、退職=逃げではなくステップアップの一環と捉えてもらうのが狙いです。

「残業が多すぎて…」ではなく「ワークライフバランスを大切にして長く働ける環境に移りたい」など、ポジティブな目的に言い換えましょう。

④自分の意思と感謝をしっかり伝える

最後に大事なのは、自分の人生は自分で決めるという覚悟と、支えてくれたことへの感謝を示すことです。

親御さんとしては口出ししたくなるでしょうが、「◯◯(あなた)の人生だから、最終的には自分の判断で良いんだよ」と言ってくれるケースもあります。

しかし反対が強硬な場合でも、最終的には自分の決意を丁寧にでも揺るがない態度で伝えることです。

「○○に悩んで毎日辛かった。自分なりに熟考した結果、退職する以外にないと判断しました。迷惑かけて申し訳ないけど、どうか理解してください」と真摯にお願いしましょう。

ポイントは、頭ごなしに反発せず敬意と感謝を持って話すことです。

「お父さんお母さんの言うことももっともだと思う。でも自分の気持ちは変わらない。ここまで育ててくれたのに申し訳ないけど、自分の幸せのために決断させてほしい。」と伝えれば、時間はかかっても親心に響くはずです。

周囲(友人・先輩)にはどう伝える?

家族以外にも、同期入社の友人や大学の先輩などから「え、もう辞めちゃうの?」と驚かれることがあるでしょう。

対応策
  • 信頼できる友人には本音を話してOK。 共感してくれる場合も多いですし、愚痴を聞いてもらうだけでも心が軽くなります。「実はこういう理由で辞めるんだ…」と打ち明ければ、きっと応援してくれるでしょう。ただし、同期の中には会社に情報が漏れる可能性もあるので注意が必要です。信用できる人に留めましょう。
  • それほど親しくない人や先輩には無理に言いふらさなくて良い。 辞めた後に聞かれたら、「まぁ色々あってね、次にやりたいこと見つかったから!」とサラリと説明すれば十分です。深刻な話はせず明るく前向きな近況報告に留めると、「この人は前向きにステップ踏んでるんだな」と思われます。
  • SNSで公表は慎重に。 辞めたばかりの頃に感情的な投稿をすると後で後悔するかもしれません。落ち着くまではあまり発信せず、信頼できる人との直接の会話を大事にしてください。

親世代にも変化が…理解者は増えている

最近では親世代でも、子どもの意思を尊重する考え方が増えています。

ある社会人30年以上のベテラン男性は「昭和的な『石の上にも三年』は古い。好きな仕事が選べる時代だから、合わないと思ったら即断即決で良い」と新入社員の決断を肯定しています。

このように、必ずしも全員が「根性なし」と批判するわけではありません。

時代とともに考え方も変わりつつあります。

あなたの親御さんも、最初は感情的に反対しても、時間をかけて話し合えば最終的には「あなたの幸せが一番大事」と認めてくれるかもしれません。

家族との信頼関係を大切に、しかし自分の人生は自分で責任を持つという姿勢で臨みましょう。

まとめ:あなたに合った選択をして後悔しないために

長文の記事をここまでお読みいただきありがとうございます。

最後に、本記事のポイントを簡潔にまとめつつ、あなたが自分に合った道を選べるようエールを送りたいと思います。

人生のスタートである新卒就職。

しかし、合わない職場で無理を重ねることが必ずしも正解ではありません。

早めに見切りをつけて新天地を探すのも、立派な自己判断です。

退職代行はその手助けをしてくれるツールにすぎません。

本当に大切なのは、あなた自身の気持ちとこれからの人生

どうか自分を責めすぎず、そして周囲の雑音に惑わされすぎず、あなたが後悔しない選択をしてください。

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