契約社員として働いていて「職場が合わない」「次のステップに進みたい」など退職や転職を考えることもありますよね。
しかし契約期間の途中で辞めるとなると
「バックレ(無断退職)だと思われないか?」
「残りの有給休暇をちゃんと消化できるの?」
「失業保険はきちんと受け取れる?」
「違約金や損害賠償を請求されない?」
などの不安がいっぱいではないでしょうか。
そこで本記事では、契約社員が退職代行サービスを活用し、権利を守りながら損しない退職を実現するためのポイントを法律や行政の情報に基づきわかりやすく解説します。
退職代行モームリ | 退職代行 即ヤメ | |
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サービス | ![]() | ![]() |
料金 | 22,000円 | 20,000円 |
運営 | 株式会社 | 労働組合 |
弁護士の監修 | あり | あり |
全額返金保証 | あり | ※お支払いは退職決定後 | なし
正社員の退職代行 | 対応 | 対応 |
アルバイトの退職代行 | 対応 | 対応 |
無料相談 | 無料相談する | 無料相談する |
契約社員が退職代行を使うことのメリットと注意点
まず、契約社員が退職代行サービスを使うメリットから見てみましょう。
最大のメリットは「精神的な負担の軽減」です。
退職を直接伝えるのは気まずかったり上司に引き止められたりするプレッシャーがありますが、代行業者に任せれば自分で会社とやりとりする必要がなく、スムーズに辞められます。
また、昨今は退職代行の利用も珍しくありません。ある調査では「直近1年以内に転職した人の16.6%が退職代行サービスを利用した」と報告されており、若手ではその割合がさらに高いそうです。
つまり退職代行は社会的にも一定の理解が進んでおり「代行を使うなんて非常識」といった心配は不要でしょう。
一方、注意点も押さえておきましょう。
まず費用面では、退職代行の利用には一般的に2~3万円前後の料金がかかります(サービスによって1万円~5万円程度と幅があります)。
次に、契約社員特有の注意点として契約期間の問題があります。
正社員と違い契約社員は有期契約のため、契約満了前に辞めること自体が会社との契約上グレーになる場合があります。
この点については後述する「契約途中で辞められる条件」で詳しく解説しますが、退職代行サービスを利用すれば必ず辞められるとは限らないケースもあることに留意が必要です。
例えば契約期間が残っているのに会社が承諾しない場合、非弁(後述)業者では交渉ができず、最悪「辞められない」リスクもゼロではありません。
したがって、契約社員が退職代行を使う場合は業者選びも含めて慎重に進めることが重要です。
最後にもう一点、退職代行利用に関する世間体や今後への影響も気になるところですが、基本的に利用者が責任を問われることはありません。
むしろ無理に我慢して働き続け心身を壊しては元も子もないので、適切にサービスを活用すること自体は賢い選択と言えるでしょう。
退職代行の法的根拠と契約途中で辞められる条件
法律上、労働者には退職の自由が認められています。
まず、正社員(期間の定めがない雇用契約)の場合は民法627条により「いつでも辞めることができる」とされており、退職の意思表示から 2週間経てば契約は終了します。
これは退職代行を使おうが自分で言おうが変わりません。
問題は契約社員(期間の定めがある契約)の場合です。
契約期間が残っている途中で一方的に辞めることは原則として簡単ではありませんが、いくつか例外的に認められる条件があります。
①「やむを得ない事由」がある場合 – 民法628条では、「やむを得ない事由」があれば契約期間中でも退職が認められます。
具体例としては、パワハラや病気、介護などで働き続けるのが困難な場合です。
退職代行を使う際は、これらの理由を明確に伝えることで法的根拠が示しやすくなります。
② 契約開始から1年以上経過している場合 – 契約社員は、契約開始から1年以上経過すれば、いつでも退職が可能になります(労基法附則137条)。
法律上は即日退職もできますが、引き継ぎをしないと損害賠償を請求されるリスクもあります。
そのため、1年以上経っていても2週間程度の引き継ぎ期間を設けるのが望ましいです。
③ 会社と労働者双方が合意している場合 – 契約期間中でも会社と労働者が合意すれば退職は可能で、法的には円満退職となります。
ただし、会社が必ずしも同意するとは限らず、交渉が必要な場合もあります(※交渉は弁護士または労働組合のみ可)。
最終的には労働者の意思表示で退職は成立するため、退職代行を通じて手続きを進めることが可能です。
※退職代行は、民法上の代理権に基づいており、第三者が本人に代わって退職を伝えることは合法です。
ただし、退職に関する「交渉」を非弁護士が行うのは違法(非弁行為)にあたります。
単に退職の意思を伝えるだけなら、代行サービスの利用に法的な問題はありません。
有給休暇の取得方法と失業保険の確実な受け取り方
契約社員であっても、退職時に有給休暇(年次有給休暇)を消化することは労働者の正当な権利です。
法律上、有給休暇は労働者が希望する時期に取得できるものとされており、退職前に残っている有給をすべて消化することも可能です。
したがって、退職代行を利用して辞める場合でも「残りの有給休暇を消化してから退職したい」と希望を伝えれば、その日程で進めてもらえます。
実際、多くの退職代行業者は「即日から有給消化として出社不要にできる」とうたっています。
例えば退職の意思表示をした日から退職日まで2週間程度の猶予期間がありますが、その期間をすべて有給休暇扱いにすれば、一切出社せずに有給消化+退職が可能です。
とはいえ注意点もあります。
会社には労基法39条に基づく「時季変更権」という権利があり、労働者の有給取得希望時期が会社の事業運営を著しく妨げる場合には時期を変更できるとされています。
退職直前に長期の有給消化に入るケースでは、業務の引き継ぎなどとの兼ね合いで会社から取得時期の相談(変更提案)を受ける可能性もあります。
そのため、有給消化の申請はできるだけ早めに行いましょう。
退職代行サービスに依頼する際も、「○月○日付で退職希望。有給休暇が〇日残っているので退職日まで消化したい」と具体的に伝えておくとスムーズです。
もし会社が有給取得を渋った場合でも、労働組合系や弁護士系の退職代行であれば企業と交渉して取得させてくれるケースもあります(非弁の業者だとそこまで対応できない点に注意)。
結果的に買い上げ(有給分の金銭補償)は法律で義務付けられていないため、有給休暇を消滅させないよう確実に使い切ることが「損しない」退職の大事なポイントです。
次に失業保険(雇用保険の基本手当)の受給についてです。
契約社員であっても条件を満たせばもちろん失業手当を受け取れます。
ただし、その受給タイミングや条件が退職理由によって異なる点を理解しておきましょう。
契約社員が契約満了で退職した場合(契約期間を全うし更新されなかった場合)には、多くが会社都合の「特定理由離職者」扱いとなり、失業手当の給付制限がなくすぐに受給が開始されます。
さらに受給資格要件も緩和され、在職期間が短くても受給できるなどの優遇があります。
一方で、契約期間途中で自己都合退職した場合(=自ら望んで契約を切り上げ退職した場合)は、「一般の離職者(自己都合退職)」となり給付開始が 2~3か月後に遅れます。
具体的にはハローワークで求職申請してから7日間の待期の後、さらに約2ヶ月の給付制限期間が経過してから基本手当の支給が始まります。
つまり、契約満了まで働いて辞めるのに比べ、途中退職だと失業手当の受給が数か月遅れるため、その間の生活費を考慮しておく必要があります。
「それでは途中で辞めたら失業保険を損するだけ?」と思うかもしれません。
確かに受給は遅れますが、もらえなくなるわけではありません。
雇用保険の被保険者期間が直近2年間で通算12か月以上あれば(自己都合退職の場合の受給条件)、給付制限後に基本手当を受け取れます。
退職代行業者を通じて辞める場合でも、会社に離職票発行手続きを依頼することを忘れないでください(多くの代行業者は依頼時に離職票の有無も確認してくれます)。
また、もし退職理由にやむを得ない事情(例えばハラスメントや体調悪化など)がある場合は、ハローワークで申し出ることで「特定理由離職者」に該当し、給付制限が解除される可能性もあります。
例えばパワハラが原因で自己都合退職した場合などは、医師の診断書や第三者の証明があれば会社都合に準じた扱いになるケースもあります。
退職代行利用だからといって失業保険が不利になることは基本的にありませんので、ご安心ください。
損害賠償や契約満了金など契約社員特有の注意事項
契約社員が途中で退職する際に心配なのが、損害賠償や違約金の問題でしょう。
結論から言うと、「退職すること自体」に対して会社がペナルティを科すことは法律で禁止されています。
したがって、「契約社員が途中で辞めたら違約金◯円」などと就業規則等に書かれていても法的効力はなく、会社が勝手に罰金を差し引くようなことはできません。
この点は安心してください。
しかし、だからといって一切の損害賠償責任がないかと言えば、ケースによります。
法律上許されないのはあらかじめ定めた違約金・損害賠償額であって、実際に生じた損害への賠償請求まで禁じているわけではありません。
例えば契約社員が何の連絡もなく突然出社しなくなり、そのせいで会社に業務上の重大な支障や費用が発生した場合、会社側はその実損害について賠償を求め裁判で争う余地があります。
もっとも、現実には「退職された損害」を立証するのは難しく、労働トラブルとして会社イメージも悪くなるため、社員の自己都合退職に対して損害賠償訴訟を起こす企業は稀です。
多くの場合、辞められて困っても次の人を雇うなど対処して終わりです。
ただ先述のように、重大な引き継ぎ違反や機密情報漏えいなど悪質なケースでは賠償リスクもゼロではないため、円満に退職する努力は怠らないようにしましょう。
具体的には
- 「退職の意思は正式に伝える」
- 「貸与物(制服・パソコン等)はきちんと返却する」
- 「引き継ぎ書類の作成など可能な範囲で協力する」
など、基本的なマナーを守っておけばまず問題ありません。
退職代行サービス利用時も、業者から会社へ貸与物返却の段取りなど伝えてくれますし、依頼者本人はもう出社しなくても後日郵送等で対応できます。
次に契約満了金についてです。
これは契約社員が契約期間を満了して退職する際に支給されることがあるボーナス的なお金です。
支給がある会社では就業規則や労働契約書に明記されていますので、契約社員として入社時に説明を受けているはずです。
問題は、途中退職すると契約満了金がもらえない点です。
当然ながら「満了慰労金」的なお金なので、期間満了せず辞める場合は支給対象外となります(契約書に途中退職時は不支給と書かれているでしょう)。
「損しない退職」の観点では、契約満了金が相当額ある場合はできれば満了まで勤めた方が得です。
退職代行で今すぐ辞めたい気持ちと天秤にかけて、それが数十万円規模であるなら思い直す価値もあります。
なお退職金については、契約社員には基本的に支給されないケースが多いです(支給する会社もありますが稀です)。
退職金制度がある会社でも「正社員のみ対象」とされていたり、契約社員だと勤続年数が短く対象外だったりするため、途中退職によって特別失うものではないでしょう。
以上のように、契約社員が途中退職する際は違約金の心配は不要ですが、実損害を与えない形で辞める工夫と、途中退職で失うかもしれない金銭(満了金など)の確認が大切です。
事前に契約書や就業規則を見直し「満了退職時に何がもらえる予定だったか」「途中退職でペナルティ条項が書かれていないか」チェックしておきましょう。
不明点があれば退職代行業者や労働組合、弁護士等に相談すると安心です。
信頼できる退職代行サービスの選び方と比較
退職代行サービスは現在数多く存在しますが、契約社員が「損しない」退職をするには信頼できる業者選びが肝心です。
ここではサービスの種類や選ぶポイントを比較しながら解説します。
退職代行サービスの種類(運営形態)
退職代行は大きく分けて 民間企業型・労働組合型・法律事務所型(弁護士型) の3種類がありますそれぞれ特徴が異なるので、自分の状況に合ったタイプを選ぶことが重要です。
- 民間企業型 – 民間企業型の退職代行は、手軽で料金も安く、即日対応も可能なのが特徴です。ただし、法的な交渉はできず、「退職の意思を伝える」ことに限定されます。契約社員が利用する場合、引き止めや条件交渉には対応できない点に注意が必要です。
- 労働組合型 – 労働組合型の退職代行は、組合に加入することで会社と法的に交渉できるのが大きな強みです。有給消化や退職日、残業代の交渉も可能で、費用は2〜3万円程度と民間型と大差ありません。ただし、組合加入が必要で、公務員など一部対象外のケースがある点には注意が必要です。
- 法律事務所型(弁護士による退職代行) – 法律事務所型の退職代行は、弁護士が対応するため法的交渉やトラブル処理が可能で安心感があります。費用は5万円以上と高めですが、未払い賃金や慰謝料の請求も含めてワンストップ対応が可能です。契約社員でトラブルのリスクが高い場合や複雑な状況では、弁護士型が最も確実な選択肢です。
上記のように、契約社員には労働組合型か弁護士型のサービスがおすすめといえます。
民間型も使えないわけではありませんが、万一会社が強硬だった場合に「伝言」以上の対応ができず不安が残ります。
実際、法律の専門家も「契約社員の方におすすめなのは労働組合または弁護士が運営しているサービス」と述べています。
労働組合や弁護士の代行なら、有給取得の交渉から万一の法的トラブルまで任せられるので、安心して退職できるでしょう。
業者選びの重要ポイント
では具体にどのような点に注意して業者を選べば良いでしょうか。
以下にチェックすべきポイントを整理します。
- 運営元の信頼性: 公式サイトに会社名・所在地・連絡先が明記されているか、運営実績は十分かを確認しましょう。匿名で運営しているような不透明な業者は避けるべきです。また運営歴が長いサービスはノウハウが蓄積され信頼性が高い傾向にあります。
- 非弁行為の有無: 非弁行為とは、弁護士でない者が法律事務を行う違法行為を指します。民間型や一部の労組型で残業代請求などをうたう業者には注意が必要です。法律交渉が必要な場合は、必ず弁護士に依頼し、適法なサービスかどうかを見極めましょう。
- 料金体系の透明性: サービス料金が明確に示されているか確認しましょう。基本料金以外に追加費用が発生する条件や、返金保証の有無もチェックポイントです。例えば「退職成功まで追加料金なし」「万一退職できなければ全額返金保証」といった記載があると安心です。逆に安すぎる価格を掲げていても後からオプション料金を請求されるケースもあるため、料金内訳がはっきりしている業者を選ぶと良いでしょう。
- サポート体制と対応範囲: 退職代行を選ぶ際は、24時間対応やLINE相談、退職後のフォロー体制も要チェックです。契約社員に対応しているかどうかも確認し、対応外の業者には注意が必要です。公式サイトや口コミを参考にしながら、自分が安心して任せられる業者を選びましょう。
最後に、具体的なサービス名について触れておきますと、市場には「退職代行○○」といった様々な業者があります。
有名どころでは
- EXIT(エグジット)
- ニコイチ
- 労働組合運営のガーディアン
- 弁護士事務所が行う汐留パートナーズ法律事務所の退職代行
など、それぞれ特徴があります。
料金で選ぶなら数万円台前半のところ、安心感で選ぶなら弁護士系、というように自分の優先順位で比較しましょう。
以下に代表的なタイプ別の比較表を簡単に示します。
サービス種別 | 料金相場 | 交渉対応 | メリット・デメリット |
---|---|---|---|
民間企業型 | 約1~5万円 | 法的交渉不可(意思伝達のみ) | ・料金が安く手軽 ・即日対応◎ ・ただし会社が強硬な場合は対応限界あり ・非弁行為に注意 |
労働組合型 | 約2.5~3万円 | 一部交渉可(団体交渉権あり) | ・有給消化など交渉可能 ・交渉力○ ・組合加入が必要 ・対象外のケースに注意 |
弁護士型 | 約5~10万円 | 全て交渉可(法律事務OK) | ・交渉力◎ ・トラブル対応◎で安心 ・費用高め ・法的請求も同時に依頼可 |
契約社員の方が退職代行を選ぶ際は、上記を参考にしつつ「安心して確実に辞められること」を最優先に検討しましょう。
よくある質問に答えるQ&A
最後に、契約社員が退職代行サービスを利用するにあたって寄せられるよくある質問とその回答をまとめます。
疑問や不安の解消にお役立てください。
退職代行を使って会社を辞めたら「バックレ(無断欠勤)した」と思われませんか?
退職代行を通じて正式に意思を伝えていれば、それは「バックレ」ではなく正規の退職手続きです。
会社にも通知が届くため、連絡なしの失踪と誤解されることはありません。
物品返却や社会保険の手続きなどの義務を果たせば、後ろめたさを感じる必要もありません。
残っている有給休暇はちゃんと消化できますか?
原則として、有給休暇は退職までにすべて取得することが可能です。
退職代行に「有給消化希望」と伝えれば、代行業者が会社に申し入れてくれます。
退職代行で辞めても失業保険(雇用保険の基本手当)はもらえますか?
退職代行を使っても、条件を満たせば失業手当は問題なく受け取れます。
大事なのは退職理由と雇用保険の加入期間で、自己都合退職でも一定期間後に支給されます。
離職票の発行も忘れずに依頼し、事情によっては「特定理由離職者」として有利な扱いを受けられる場合もあります。
会社から損害賠償請求をされたりしませんか?
通常、退職によって違約金や損害賠償を請求される心配はほとんどありません。
正当な退職であれば法的に無効とされ、実際に請求されるのは稀です。
退職代行サービスを使うこと自体は違法ではないのでしょうか?
退職代行の利用は違法ではなく、労働者が第三者に委任するのは法律上問題ありません。
ただし業者が無資格で交渉行為を行うと違法になるため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
弁護士や労働組合運営のサービスなら安心して利用できます。
まとめ
契約社員が退職代行サービスを活用して円満に退職するためのポイントを解説しました。
退職代行は決して逃げではなく、正当な権利を行使し自分を守る手段です。
法律や制度を味方につければ、契約途中でも有給休暇をしっかり消化し、失業保険も確保して損しない退職が可能です。
大切なのは信頼できる業者を選び、事前に知識を身につけて冷静に対処すること。
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