会社を辞めたいけれど上司に言い出せない…そんなときに頼れる退職代行サービスですが、気になるのはその費用ですよね。
この記事では「退職代行 費用」をキーワードに、運営元別の費用相場から雇用形態による違い、即日退職や有給消化など特殊なケースでの料金、追加料金の内訳と注意点、さらには信頼できるサービスの選び方まで、網羅的に解説します。
運営元による退職代行サービスの違いと費用相場
ひと口に退職代行といっても、その運営元によって対応範囲や費用相場が大きく異なります。
主な運営元は「民間企業(一般の退職代行業者)」「労働組合(ユニオン系の退職代行)」「弁護士(法律事務所)」の3種類です。
それぞれの特徴と料金相場を確認しましょう。
民間企業運営の退職代行サービス
費用相場:約1万~5万円程度
民間企業が運営する退職代行業者の費用は、比較的安価で1万円~5万円程度が相場です。
依頼者に代わって会社へ「退職したい」という意思を伝える連絡代行が主なサービス範囲で、法律上の交渉行為はできません(弁護士法72条に抵触する「非弁行為」となるため)。
そのため会社との交渉はできず、あくまで退職意思を伝達する役割にとどまります。
メリット
費用が安く、深夜対応や即日対応など手軽さを売りにした業者が多いです。
「とにかく費用を抑えたい」「上司に退職の意思を伝えてもらえれば十分」という場合には民間業者でも問題ないでしょう。
デメリット
法的な交渉ができないため、有給消化の交渉や未払い残業代の請求などが必要になると対応できません。
会社側が強硬に引き止めたりトラブルになった場合、民間業者では行き詰まる可能性があります。
また、極端に料金が安すぎる業者には注意が必要です。
不当に低価格の業者はサービス品質に難があったり、最悪場合によっては詐欺や退職失敗のリスクも指摘されています。
労働組合運営の退職代行サービス
費用相場:約2万5千~3万円程度
労働組合(ユニオン)が運営する退職代行サービスは、料金相場が2.5万~3万円前後と民間よりやや高めです。
しかしその分、労働組合法によって認められた団体交渉権を行使でき、会社と直接交渉が可能なのが大きな特徴です。
有給取得の申し出や退職日の調整、場合によっては未払い給与の請求交渉など、法律の範囲内で会社とのやり取りを代行してくれます(ただし裁判や慰謝料請求など法律訴訟に関わる対応は不可)。
メリット
交渉力がある点が安心材料です。
退職の意思伝達だけでなく「残っている有給を消化したい」「退職を拒否された場合に交渉してほしい」といった希望がある場合も、非弁行為の心配なく対応してもらえます。
デメリット
提供できるサービス範囲はあくまで労組の交渉権の範囲内です。
訴訟対応や損害賠償請求など司法手続きが必要な場合は対応できないため、そうしたケースでは弁護士に依頼する必要があります。
また、利用時にはその労働組合への加入が必要になるケースが一般的で、組合加入費(数千円程度)が別途かかることがあります。
とはいえ加入手続きは代行業者側でスムーズに行ってくれる場合がほとんどです。
弁護士(法律事務所)運営の退職代行サービス
費用相場: 約5万~10万円程度
弁護士が運営する退職代行(厳密には弁護士による退職代理)サービスは、費用が5万~10万円と他の形態に比べて高額になる傾向があります。
これは、弁護士法に基づく正式な代理権限で会社に対応でき、退職代行だけでなく法律問題への対処も含めたサービスになるためです。
メリット
法的に最も安心できる方法です。
- 他の業者ではできない残業代や未払い給与の請求交渉
- 退職に絡む損害賠償請求への対応
なども弁護士なら可能です。
万一トラブルが深刻化して訴訟に発展した場合でも、そのままスムーズに対応を継続してもらえます。
会社から内容証明郵便で何か請求が来た場合や、法的に揉める可能性があるケースでは弁護士に任せるのが安全でしょう。
デメリット
費用が高い点が最大のネックです。弁護士によっては相談料が発生したり、着手金とは別に成功報酬が設定されている場合もあります。
たとえば未払い金の請求に成功した場合に回収額の20~30%を成功報酬として支払う、といった料金体系が一般的です。
依頼内容によって総額が膨らむ可能性があるため、見積もりをよく確認しましょう。
ただし基本的な退職手続きのみなら追加料金なしで完了する弁護士サービスも多く、法的トラブルが起きなければ相場程度の費用で済むケースもあります。
運営元別の特徴まとめ比較表
上記のポイントを踏まえ、運営元ごとの費用相場と対応範囲、メリット・注意点をまとめた比較表を作成しました。
運営元 | 費用相場 (税込) | 対応できる範囲 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|---|
民間企業 | 1万~5万円程度 | 退職の意思を伝える連絡代行のみ(交渉不可) | 費用が安い。24時間対応など手軽 | 法的交渉不可。安すぎる業者は品質リスク |
労働組合 | 2万5千~3万円程度 | 有給取得交渉や未払賃金請求など労組の団体交渉権範囲 | 交渉力あり安心。弁護士より安価 | 訴訟対応不可。組合加入費が必要な場合あり |
弁護士 | 5万~10万円程度 | 退職手続き全般+法的トラブル対応(訴訟代理も可) | 法的に安心。未払い請求や訴訟まで対応 | 費用が高い。内容によって成功報酬追加 |
どの運営元にも一長一短があります。
「費用」と「対応範囲」のバランスを見て、自分の状況に合ったサービスを選ぶことが大切です。
単に安さだけで決めず、「自分は会社とどこまでのやり取りを代行してほしいのか」を基準に考えてみましょう。
雇用形態による料金の違いはある?
正社員・契約社員・派遣社員・アルバイト/パートなど、雇用形態によって退職代行の料金は変わるのでしょうか?
基本的に多くの退職代行サービスは一律料金を採用しており、雇用形態にかかわらず同じ料金で利用できる場合がほとんどです。
たとえば前述の「退職代行ガーディアン」や「退職代行Jobs」は正社員でもアルバイトでも同一料金でサービスを提供しています。
しかし中には正社員とアルバイトで料金設定が異なる業者も存在します。
一般的にはアルバイト・パートの方が安く設定されているケースが多いです。
アルバイトや短時間勤務の方向けに割安なプランを用意しているサービスもあるため、自分の雇用形態に対応した料金プランがないかチェックしてみると良いでしょう。
なお、契約社員や派遣社員の場合も基本的には利用料金は正社員と同等の場合が多いです。
ただし契約期間の途中で退職する場合には、契約上のトラブル(例えば派遣契約の解除手続きや残存契約期間の調整)などが生じる可能性があります。
そのため、有期雇用の方が退職代行を利用する場合は、労働組合系や弁護士のサービスなど交渉力のある運営元を選ぶと安心でしょう。
派遣社員であれば派遣元(派遣会社)への退職連絡と、必要に応じて派遣先企業への調整も必要になりますが、これも代行サービスが対応してくれます。
追加費用は通常かかりませんが、自身の雇用形態について事前に伝えておき、対応内容を確認しておくことが大切です。
ポイント
基本料金に雇用形態で大きな差はないものの、一部サービスでアルバイト割引などがある点は覚えておきましょう。
また正社員でもアルバイトでも退職代行自体は利用可能なので、「自分はアルバイトだから頼めないのでは?」と心配する必要はありません。
むしろパート・アルバイトの退職代行利用は年々増えており、サービス側も幅広い雇用形態に対応しています。
即日退職や有給交渉などを依頼すると費用は変わる?
退職代行サービスの宣伝文句でよく見かける「即日退職」や「有給消化サポート」。
これらを依頼すると追加で費用がかかるのか、気になりますよね。
即日退職について言えば、多くの退職代行業者は「依頼したその日に会社に連絡し、出社不要にする」ことを売りにしています。
即日対応自体は基本料金に含まれている場合がほとんどで、追加料金なしでその日のうちに対応してくれる業者が多いです。
たとえば24時間受付の代行業者であれば、深夜に相談して翌朝には会社へ連絡してもらえるケースもあります。
ただし一部には「即日オプション」として特急料金を設定している業者も存在します。
とはいえ即日対応料が別途かかるケースは少数であり、大半のサービスでは標準機能として即日対応可能と思ってよいでしょう。
有給休暇の消化交渉についても、多くの業者が追加料金なしで対応しています。
退職時に残っている有給休暇をできるだけ消化して辞めたい、というのは利用者の共通の希望です。
そのため実績ある代行業者なら有給取得の申し出は慣れており、会社に対してスムーズに伝えてくれます。
実際「有給消化サポート込み」をアピールする代行サービスも多いです。
ただし、会社側が有給消化を渋る場合に粘り強く交渉するとなると労働組合や弁護士でないと難しい場合があります。
そのため確実に有給を消化したいなら、最初から労組系や弁護士の代行サービスを選んでおくと安心です。
その他、特殊ケースとしては退職代行利用後の書類手続き(離職票の受け取りや社会保険の資格喪失手続き案内など)は基本的に本人と会社間で行うもので、代行サービスの範囲外です。
ただし希望すれば退職届の代理提出程度はやってくれる業者もあります(これは通常追加料金不要)。
会社からの貸与物の返却についても、自分で郵送対応するのが一般的ですが、オプションで対応してくれるサービスが稀にあります。
特に激安プランではオプション扱いになっていないか要チェックです。
退職代行サービスの追加料金と注意すべきポイント
退職代行サービスの基本料金以外に発生しうる費用についても押さえておきましょう。
大半の業者は「追加料金一切なし」と謳っており、実際に依頼料だけで完結するケースが多いです。
しかし一部サービスでは条件次第で追加費用が発生することもあります。
契約前に以下のポイントを確認しておきましょう。
- 労働組合の加入費用: 労組運営の退職代行では、組合員としての加入金が必要です。相場は数千円程度ですが、基本料金とは別扱いの場合があります。「料金○○円~(別途組合費○○円)」など明記されているはずなので確認しましょう。逆に組合費込みで一括表示されていることもあります。
- 成功報酬・成果報酬: 弁護士が運営するサービスや、一部の労組系サービスでは、成果に応じた報酬が設定される場合があります。典型例は未払い残業代や給料の回収に成功した場合の報酬で、**回収額の20~30%**が追加請求されるというものです。例えば10万円の未払い賃金を取り戻したら2~3万円が報酬としてかかるイメージです。最初から残業代請求などもお願いする予定であれば、この報酬率について事前に説明を受けましょう。
- 実費(郵送代・印紙代など): 弁護士事務所に依頼する場合、内容証明郵便の発送料や印紙代など実費経費が請求されることがあります。数百円~数千円程度ですが、見積もりに含まれているか確認が必要です。
- 連絡回数の制限: 一部の格安業者では「会社との連絡◯回まで」といった制限を設け、超過時に追加料金とする場合があります。通常は無制限で最後まで対応してくれるところが多いですが、念のためプラン詳細をチェックしましょう。
- オプションサービス料金: 「上司への謝罪メッセージ代筆」「退職理由の文面作成」「引継ぎ書類の作成補助」など、サービスによっては独自のオプションを用意している場合があります。これらは必要に応じて有料オプションとなることがあるため、希望する場合は料金を確認してください。
以上のように追加費用の有無は業者によって様々です。
幸い追加料金が発生するケースは少数派で、ほとんどの退職代行サービスは追加費用なしで完結します。
とはいえ「思ったより支払いが高くなった」と後から困らないように、公式サイトの料金欄をよく読み、不明点は事前に問い合わせて確認しましょう。
信頼できる退職代行サービスの選び方
退職代行サービスは新しい業界ゆえにピンからキリまで多くの業者が存在します。
その中から安心して任せられるサービスを選ぶために、以下のポイントをチェックしましょう。
- 運営元と交渉権の有無を確認: まずそのサービスが民間企業系か労働組合系か弁護士かを確認します。公式サイトの「運営会社情報」やトップページに記載があります。会社と交渉できるのは労働組合か弁護士だけなので、自分の希望に応じて選びましょう。民間業者でも「弁護士監修」や「労働組合提携」と書かれている場合がありますが、基本的に弁護士“監修”=交渉不可、労組“提携”=実際に労組が交渉してくれるといった形です。
- 料金体系の明瞭さ: 料金が明確に提示されているか、追加費用の有無について説明があるかを見ます。特に安すぎる料金を掲げている業者は、その値段で本当に完結するのか注意が必要です。逆に高額な場合は何が含まれるのか(弁護士対応ならではのサービス内容など)納得できる説明があると安心です。返金保証を設けているところも信頼材料になります(万一退職に失敗した場合に全額返金等)。
- 実績や口コミ: 過去の利用者の実績(○○件以上の退職成功など)を公開していたり、サービス開始からの運営歴が長い業者は比較的信頼できます。SNSや口コミサイトで業者名を検索すると、利用者の声や評判が見つかる場合もあります。「対応が丁寧だった」「無事辞められた」という声が多ければ安心できます。ただしネット上の口コミは真偽不明なものもあるため参考程度に。
- 違法行為の有無: 前述の非弁行為に関連して、違法な交渉をうたっていないかも確認しましょう。「会社から損害賠償を請求されたら当社が交渉します!」などと堂々と謳っている民間業者はアウトです。そうした業者は避けるのが無難でしょう。実際、詐欺まがいの退職代行や違法行為を行う業者も存在すると言われます。公式サイトの情報が曖昧だったり、「100%退職保証」とうたいつつ具体策が書かれていない場合などは注意が必要です。
- 相談対応の丁寧さ: 実際にメールやLINEで無料相談してみて、返信が迅速かつ丁寧かを見てみましょう。返信が極端に遅かったり雑な対応だと、依頼後も不安が残ります。相談時点でしっかり質問に答えてくれるか、親身に話を聞いてくれるかは大切です。質問したのに追加料金の説明をはぐらかすような業者は避けた方が良いでしょう。
以上の点をチェックリスト的に確認すれば、自ずと信頼できるサービスが絞り込めるはずです。
万一選び方に迷ったら、弁護士や労働組合系など法的に安心なところを選ぶのも一つの手です。
非弁行為とは?退職代行における違法リスクに注意
非弁行為(ひべんこうい)とは、簡単に言うと「弁護士資格のない者が法律事務を行うこと」で、弁護士法72条により禁止された違法行為です。
退職代行の世界では、この非弁行為がしばしば問題に上がります。
具体的には、民間の退職代行業者が会社と退職条件について交渉する行為が非弁行為に該当します。
退職の意思を伝えるだけなら問題ありませんが、未払い給与を支払うよう要求したり、会社から何らかの請求(損害賠償など)を受けてそれに反論・交渉するといった行為は法律事務の領域になるため、弁護士以外が行うと違法となります。
利用者から見ると非弁行為のリスクは「依頼した業者が交渉できずトラブルに対処できなくなる」点にあります。
そうなると依頼者の退職問題は宙に浮いてしまいます。
また、会社側から「それは非弁行為では?弁護士じゃないなら話せない」と突っぱねられて交渉が進まないケースも考えられます。
このようなリスクを避けるためにも、退職代行サービスの選択が重要です。
繰り返しになりますが、民間業者は交渉不可である点を理解し、もし有給消化や金銭面の要求など交渉が必要な希望があるなら、最初から労働組合運営か弁護士運営のサービスを選ぶのがおすすめです。
そうすれば非弁行為の心配なく、適法に交渉を代行してもらえます。
利用者としては法律知識がなくても大丈夫ですが、「何が非弁行為に当たるのか」だけは押さえておきましょう。
要は「退職の意思を伝える」以上のこと(金銭や権利のやり取りを会社と交渉すること)は弁護士か労組でないとできないと覚えておけば十分です。
違法なサービスに手を出さないためにも、このポイントを念頭に置いてください。
弁護士に依頼するメリットは?弁護士の選び方
最後に、退職代行を弁護士に依頼するメリットを改めて整理します。
他の代行サービスと比べ費用は高いものの、以下のような状況に当てはまる方は弁護士への依頼を検討するとよいでしょう。
- 会社と深刻なトラブルになっている場合: たとえばパワハラやいじめで精神的に限界、または退職を何度伝えても拒否されているような場合です。弁護士であれば法的手段も見据えた毅然とした対応が可能なので、強硬な会社相手でも安心です。「これ以上こじれたら訴訟も辞さない」くらいの強い姿勢で臨めます。
- 未払い残業代・給与の請求をしたい場合: 辞める際に未払い分を清算させたいなら、弁護士一択です。代理人として内容証明を送付し、支払いに応じなければ労基署への申告や訴訟提起も視野に入れて交渉してくれます。他の代行業者では残業代請求など法的交渉はできないため、泣き寝入りしないためにも弁護士に頼むメリットは大きいです。
- 会社から損害賠償を請求されるリスクがある場合: 無断欠勤や競業避止義務など、退職に際して会社側から何らかのペナルティや請求を受ける可能性があるケースでは、弁護士の対応が安心です。実際に請求が来た場合でも法的に適切な反論や和解交渉を任せられます。民間の退職代行では対処不能な場面でも、弁護士なら守ってくれるでしょう。
- 退職後のトラブルまでまとめて相談したい場合: 退職が成立した後も、雇用保険や年金の切り替え、引越しや転職など不安は尽きないもの。弁護士に依頼すれば、退職手続きだけでなくその後発生し得る問題についても法律相談に乗ってもらえます。必要に応じて関連分野の専門家(社労士等)と連携してもらえる場合もあり、総合的なサポートが期待できます。
このように、弁護士の退職代行は費用面以外のメリットが非常に大きいです。
特に会社とのトラブルが深刻化しそうな場合や、自分の権利をきちんと主張して辞めたい場合には心強い味方となります。
「費用は多少かかってもいいから安全確実に辞めたい」という方は、最初から弁護士に相談してみることをおすすめします。
まとめ
退職代行の費用相場は運営元によって様々で
- 民間企業:約1~5万円
- 労働組合:約2.5~3万円
- 弁護士:約5~10万円
上記が目安です。
雇用形態による料金差は基本ありませんが、アルバイトの方が安い設定になっている場合もあります。
即日対応や有給消化はほとんど追加料金不要で対応してもらえますが、契約内容の確認は怠らないようにしましょう。
信頼できるサービスを選ぶには、運営元や料金、実績、そして違法な非弁行為の有無などを総合的にチェックすることが大切です。
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